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藤田咲さんの軌跡: 社内SEから外部ITコンサルタントへ転身するまでの物語

現場感覚を武器に複数業種の経営変革を支援するコンサルへ転身する道

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経歴のスタート地点

藤田咲さん(31)は、地方の国立大学を卒業後、中堅機械メーカーの情報システム部に入社した。担当はERP(SAP)の運用と、社内DX推進プロジェクトのリード。生産管理システムのリプレイス、営業部の案件管理SaaS導入、経理のRPA展開――現場部門との折衝と要件定義の最前線に6年立ってきた。

「現場の課長と工場長の板挟みになりながら、システムを着地させてきた経験は、机上では絶対に得られない財産です」。彼女の社内評価は高く、若手のリーダー候補として目されていた。

しかし30歳を過ぎた頃、彼女の中に一つの問いが芽生えた。「自社の中だけで、自分の経験を閉じてしまっていいのか」。

最初のつまずき

コンサルティングファームへの転職を意識し始め、彼女は何社かカジュアル面談を受けた。そこで何度も指摘されたのが「論理構造の弱さ」だった。

「あるパートナーから『藤田さんの話は具体的でわかりやすいが、構造化されていない』と言われた。MECEに切れていない、ピラミッド原則に乗っていない、という意味だった」。社内SEとして優秀だった彼女の語り口は、現場感覚に根ざした“物語”であって、コンサル流の“論理”ではなかった。

もう一つ突きつけられたのは、提案書作成経験の不足だった。社内SEとして資料は山ほど書いてきたが、それは「決裁を通すための社内資料」であって、「外部クライアントに価値を売るための提案書」ではなかった。「同じパワポでも、書く目的・読み手・構成原則がまったく違うことを、面接の場で初めて意識した」。

さらに、ファシリテーションも壁だった。社内では知り合いとの会議だが、コンサルとして初対面のクライアント役員を巻き込み、議論をリードするのは別物のスキルだった。

転機 — コンサルファームへの挑戦

藤田さんは半年間の準備期間を設け、夜と週末を使ってコンサル基礎を学び直した。最初に手に取ったのは『コンサル一年目が学ぶこと』。論点設定、結論ファースト、議事録作成――コンサル流の基本動作を、社内SE経験と照らし合わせながら吸収した。「自分が今まで“自然にやっていた”ことと、“やれていなかった”ことが、はっきり分けて見えた」。

次に取り組んだのは『ロジカル・シンキング』と『考える技術・書く技術』。MECEとピラミッド原則を、自社のDX案件を題材に再構築する練習を繰り返した。「過去に自分が書いた提案資料を、ピラミッド原則で書き直すワークを30本やった。最初は1本3時間かかったが、最後は30分でできるようになった」。

決定打となったのは『問題解決プロフェッショナル』。仮説思考とイシューツリーを学んだことで、現場で起きていた“なんとなくの課題”が、構造化された論点として整理できるようになった。

半年後、彼女は中堅外資系コンサルファームのDX部門に転職を決めた。入社初年度から製造業クライアントのアサインを獲得し、現場感覚と論理構造の両刀使いとして頭角を現している。

いま振り返る選書

藤田さんがコンサル転身に役立てた5冊。

  • 『コンサル一年目が学ぶこと』: コンサル流の基本動作を、最短距離で学べた入門書。
  • 『ロジカル・シンキング』: MECEを“使えるレベル”まで昇華するために繰り返し読んだ。
  • 『考える技術・書く技術』: ピラミッド原則を実務文書に落とし込む型を授けてくれた。
  • 『問題解決プロフェッショナル』: 仮説思考の身体化に最も効いた一冊。
  • 『ファシリテーションの教科書』: クライアント会議をリードする技術を実践レベルで学んだ。

「社内SEで培った“現場の手触り”と、これらの本で身につけた“構造化”の両方が揃って、コンサルとして戦えるようになった」と彼女は語る。

これから挑む人へ

社内SEから外部コンサルへの転身は、想像以上に有望なキャリアパスだ。藤田さんはこう助言する。

第一に、社内で培った“現場感覚”は捨てる必要がない。むしろ、現場を知らないコンサルが多い中で、それは強烈な差別化要因になる。第二に、論理構造(MECE・ピラミッド原則)は本を読むだけでは身につかない。過去の自分の資料を題材に、書き直す訓練を最低30本やること。第三に、提案書作成と会議ファシリテーションは、別軸のスキルとして意識的に鍛えること。

「次の3年で、製造業DXの第一人者と呼ばれるコンサルタントになる」。社内SE時代に磨いた泥臭さは、彼女の最大の武器になっている。

彼女の転身は、社内SEがコンサルタントへ越境する一つの典型例として後進のキャリア設計の参考になっている。現場の手触りを失わないまま、論理と提案の力を獲得できれば、コンサル業界における希少な戦力として確かな位置を占めることができる。

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