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山本 圭介さんの軌跡: デジタルマーケターからグロースPMへの 2 年

データ分析力を武器にPM転身を果たしたマーケ越境者の本気の軌跡

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経歴のスタート地点

山本圭介さんがキャリアをスタートしたのは、新卒で入社した総合広告代理店だった。担当はデジタル広告運用、配属早々にGoogle広告とMetaの管理画面に張り付く日々が始まった。3年目にはBtoCのEC事業者を中心に5社のアカウントを担当し、入札戦略とクリエイティブABテストの設計を任される存在になった。

5年目に転職を決め、事業会社のマーケティング部門に移った。SaaSプロダクトのグロース担当として、SQLでBigQueryを叩き、GA4とAmplitudeでファネル分析をし、CRM配信の最適化までを2年間担当した。データを見ることと、ユーザー行動を仮説で語ることには、誰よりも自信があった。

最初のつまずき

違和感が強くなったのは、四半期のグロース施策レビューでのことだ。山本さんが提案した施策は「会員登録フローの離脱率改善」で、データの裏付けは充分だった。けれど、エンジニアからは「実装難易度が分からないと優先度の判断ができない」と返され、PMからは「これはマーケ施策ではなく、プロダクト本体の改修だ」と言われた。

グロースを語るなら、プロダクトそのものの構造を語れなければいけない。マーケ施策の外側として眺めていた領域が、本当にやりたい仕事の中心だと、彼は遅ればせながら気づいた。

そこから半年、彼はエンジニアとの1on1を月2回設定し、機能の実装上の制約を聞き続けた。それでもスクラムイベントの実務経験はなく、バックログの粒度感が掴めない。「ユーザーストーリーで書いてください」と言われて初めてその書式を真剣に学んだのは、PM志望を表明した直後のことだった。

転機となったPM公募

転機は、社内のPM公募だった。プロダクト部門が新規領域の立ち上げで1名増員することになり、山本さんは応募書類に「マーケ出身のグロースPMとして貢献する」と書いた。面接では、自分のSQL力とユーザー理解、そしてエンジニアリングの不足を率直に話し、3ヶ月の試用期間付きで合格した。

試用期間中の彼の戦略は明確だった。データ分析と仮説立案では即戦力として貢献し、その時間で稼いだ信頼を「学ぶ時間」に投資する。スクラムイベントは欠かさず参加し、テックリードに毎週30分の技術メンタリング枠をもらった。リファクタリングの議論にも、分からないなりに同席し、用語をメモしていった。

半年後、彼が主導した会員オンボーディングのリニューアルで、初週離脱率が18%改善した。施策の根拠はGAとAmplitudeのデータ、優先度の設計はジョブ理論、実装の落とし込みはエンジニアと共同で書いたユーザーストーリー。マーケ・データ・PMの3つの言語を一つの提案書に編んだ瞬間だった。

いま振り返る選書

最初に通読したのは『INSPIRED』だ。「アウトカムで考える」というメッセージが、CVRやROASで語ってきた自分の言語にきれいに接続された。続けて『プロダクトマネジメントのすべて』を辞書として手元に置き、用語の解像度を一気に上げた。

データドリブンな仮説検証では『Lean Analytics』が指南書になった。フェーズに応じたOMTMの考え方は、マーケのKPIツリーを書いてきた経験とすぐに馴染んだ。ユーザー理解の言語化には『ジョブ理論』が効いた。「どんな進歩を成し遂げたいのか」という問いに置き換えると、ペルソナ資料が一気に解像度を増した。

スクラム実務は『SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』で具体イメージを掴み、漫画パートを開発チームと共有して共通認識を作った。アジャイル全般の哲学を体に入れるには『アジャイルサムライ』も読み、初期の不安を和らげる支えになった。

これから挑む人へ

山本さんはいま、グロース領域の専任PMとして3名のチームを率いている。マーケからの越境者として彼が後輩にいつも伝えるのは、「マーケで培った言語を捨てる必要はない」ということだ。CVRもLTVもCACも、PMの会議で必要な語彙であり、エンジニアが普段触れない指標を翻訳できることは強みになる。

足りない技術の語彙は、隣に座る人から借りればいい。ただし、借りっぱなしにしないこと。借りた言葉を翌週には自分の口から正しく使う努力を続けると、半年後にはエンジニアと対等に議論ができるようになる。越境のコツは、自分の元職を否定しないことと、新しい語彙への謙虚さを両立させることだと彼は言う。

もう一つ山本さんが大切にしているのは、データの数字を一度ユーザーの言葉に翻訳してから議論の場に出すことだ。CVRやリテンションの数字だけを並べると、エンジニアもデザイナーも自分ごととして受け取りにくい。「この数字の裏で、ユーザーは何に詰まっているのか」を一文で添えるだけで、施策の優先度を巡る会話の温度は明らかに変わる。

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